「あれ? もしかしてさ、玲於と一緒に勉強してた子じゃない?」
そんなことを考えていたわたしに、不意にそんな声がかけられた。
つられるように顔をあげると、そこにはかわいい顔をした小柄な女の子がひとり。
どこかで見たことあるようなないような───…あ。
芦原くんと吉良くんといつも一緒に行動しているD組の子だ。
玲於。
わたしにはできないその呼び方に、少しだけ胸が痛んだ。
ミルクティーベージュの、軽くウェーブがかった髪に、パーツひとつひとつが可愛い顔。
高嶺の問題児のふたりと並んでも全然違和感がない、派手な雰囲気がある。
「やっぱりそうだぁ。うんうんなるほど、かわいいね。ご愛敬って感じする!」
「え、えっと…?」
「名前なんていうの?あたしは琴美!赤城 琴美!」
ぐいぐい来る赤城さんに圧倒されつつも「に、二瀬ひろです……」と小さな声で返すと、「ひろちゃんかぁ!かわいい!」と、何に向けられているのかわからない「かわいい」を貰った。



