なるべく人にやさしくフレンドリーに。





​───…って意識して生きてたら、いつのまにか「女の子は来るもの拒まず」みたいなイメージがついてしまった。



実際、俺は不特定多数と友達以上の関係をもったことはないんだけど。




もともと朝が苦手で遅刻ばっかりしていたし、高校に入る時にノリで染めた金髪も相まって『ソコウフリョウの人』として認識されちゃったから、否定するのもめんどうだしじゃあもういいかーって、諦めた。



幼馴染でいつも一緒に行動している茜も俺と似たような感じだから、『高嶺の問題児』なんて呼び名が付いているけれど、蓋を開ければただのソコウフリョウなだけだ。




「なんかぼーっとしてんじゃん。なぁに、考えごと?」

「んー…や」




……考えごと、ねえ。


赤城に言われてふと頭に浮かんだのは、顔を赤らめて潤んだ瞳で俺を見上げるひろの顔だった。




いやいや。今思い出してみても、やっぱりあの顔反則だよなあ。


手握って離さないし、上目遣いするし……まだ帰りたくないって顔、してた。





どうしようもなく可愛くて、離したくなくなって​────衝動的に、ひろの唇に噛み付いた。