「てかしつこい。おまえに話しかけたんだって」
「えぇえ……?な、なんでわたし…」
「見覚えのあるやつがちょうどいたから」
「あ、芦原くんの傘は」
「折れた」
「折れた……?」
偶然、芦原くんが帰るタイミングで顔見知りのやつがいたから。だから、わたしに声をかけた。自分の傘は折れた。
どういうこっちゃ、全然意味が分からない。
折りたたみ傘を開いた状態のまま、わたしは芦原くんを見つめ目を瞬かせる。
今日、わたしはというと。
日直で書き終えた日誌を職員室にもっていったら、その後流れで先生から雑用を頼まれてしまい、すっかり帰りが遅くなってしまったのだ。
いつもより1時間以上遅い時間。友達の千花ちゃんはバイトがあるからと先に帰っていたので、わたしはひとりで帰る予定だった。
───そうしたら、芦原くんに声をかけられた。
芦原くんとわたしが会話をしているのは、そういう経緯である。
「か、会長……とか、は」
「ああ、さっきのアレ?」
今から40分くらい前、書き終えた日誌を職員室にもっていく──その直前の話。



