「時代は金髪だ。七海も爽やかキャラやめてフリョウ目指してみたら?」
「しねーよ」
「案外似合うかもじゃん!ね、ひろもそう思わない?」
「えー…、七海は黒の方がいいんじゃないかな…」
「……だから、元から金にするつもりねえから」
「七海理久17歳、一生黒髪を誓うの巻」
「おいやめろ黙れ喋るな」
千花ちゃんは七海をいじるのが好きみたい。
わたしは会話の意味がよくわからなくて首をかしげてしまうことが多いけど、ふたりが仲良しなのは十分伝わるからいいやって納得している。
グラスの半分まで減ったオレンジジュースを再びテーブルに置いて、七海に怒られる前に続きやろう……とシャープペンを持った。
───直後のこと。
「いーれーてー」
「え」
聞き覚えのある声色が聞こえ、わたしたち3人の驚いた声が重なった。



