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「あのふたりが並ぶと眩しすぎるよね。流石『高嶺』って感じ」
芦原くんたちが通り過ぎてすぐ。
千花ちゃんがテーブルに頬杖をついて言う。
高嶺。本当にその通りだ。
そんな芦原くんとわたしが関わったのはすでに2週間も前のことで、傘を返してもらったあの時以来。
校内で一方的に見かける程度で、当然、芦原くんの方から話しかけられたりすることもなかった。
……って、いや。べつに話しかけてほしかったわけじゃないけどさ。
窓から視線を逸らし、早まった脈拍を誤魔化すようにオレンジジュースをちうっと吸う。
オレンジの酸味が口いっぱいに広がった。



