芦原玲於くんと、そのお友達の吉良茜くん。
下校時間にしては遅いけど部活帰りにしては早いから、どこかにふたりで寄り道してきたんだと思う。
『高嶺の問題児』のふたりだから、千花ちゃんはこっそり高嶺ツインズって呼んでいるみたい。
なんだかアイドルみたいで面白い。
「あ、こっち来る」
芦原くん、そういえば電車通だったっけ。
駅に向かうには、信号を渡ってわたしたちが今いるファミレスの目の前の歩道を通るのが鉄板。
窓際の席にいるから、もしかしたらこっちに気づいてくれるかも───…って。
「え?なんか芦原くん、手振ってるんだけど」
───まるで、わたしの心の声が届いたかのようなタイミング。
芦原くんが、窓際に座るわたしに向かって右手をあげた。



