「二瀬、そこまた間違ってる。解き方さっき教えたろ」
「えっと……ここのyを」
「そうじゃないしそもそも因数分解から間違ってる」
「えぇぇ……なんで……」
時は11月。放課後、学校から一番近いファミレスの窓際のテーブル席にて。
わたしと千花ちゃん、それからクラスメイトであり同じ中学校出身で腐れ縁でもある七海 理久の3人は、テスト対策の勉強会を開いていた。
「……はあ。おまえまじで覚え悪い」
「ごめんってば……。わたしがバカなのなんて中学の時から知ってるじゃん」
「遺伝子のせいにすんな。つか自覚してるならもっと勉強しろばーか、あほ、まぬけ」
「ばかって言った方がバカだもん……」
つんとした態度で悪口を言う七海に弱弱しく反撃する。
そんなわたしたちを見て、千花ちゃんは「相変わらず小学生みたいな会話するねぇ」とけらけら笑っていた。
その「小学生」って、わたしも含まれてるっぽい。ちがうよ千花ちゃん、小学生なのは七海だけだよ。
ムッと唇を結んで七海を睨むも、ふん とわざとらしく目を逸らされる。
なにそれ、感じ悪い!