芦原くんは高値の問題児。


男の子の友達が少なくて恋愛経験の乏しいわたしとは正反対で、まるで住む世界が違うんだ。




たまたま機会があって一緒に帰ったり傘を貸したり、お礼にお菓子をもらったりしただけ。

たまたま、芦原くんが意外と優しい人だって知れて、たまたま見えた八重歯がかわいいなって思っただけだもん。




そうだよ。

だから、昨日の意味深な言葉も、頭を撫でられたことも、全部気にしないことにしよう。



「だから、期待とかしてないってば千花ちゃん」

「えーん、ごめんてぇ」





千花ちゃんにそう言って、わたしは視界に映る金髪から目を逸らした。