「よー、ひろ。昨日ぶり」

「こん……にちは」

「うわ、なんかよそよそしいな」



教室のドア付近。スクールバックを背負った芦原くんは昨日とさほど変わらないテンションで話しかけてくる。


堂々とした遅刻に、金髪に、周りの視線。


高嶺の問題児という呼び名がついていることを痛感する。




「芦原くん……ここはちょっと人目が多いので場所を変えませんか…」




そう提案すると、芦原くんは一瞬だけ視線を上げてあたりを見渡して、───それから。




「ふたりきりになりたいってことか、なるほど」

「は!?ちが……っ」

「いーよ? そういうの、キライじゃない」




グイっと耳元に唇をよせて、悪戯っぽくささやいた。