「…ふは。想像以上にかわいー反応するから俺までビビるわ」
「あ…しはら、くん」
「ピュアでいーね、ひろ。そのままでいてほしいわ」
「え、」
「なんも。傘助かった、ありがとな」
また明日。
そう言って、ぽんぽん…と優しく頭を撫でられた。
こくりと頷いて、反対ホームに向かう芦原くんの背中を、ぼんやりと見つめる。
触れられたところが、熱を帯びてあつい。
慣れない展開に、力が抜けたようにわたしはその場に立ち尽くしていた。
『嫌なことはちゃんと言えるようにしておかないと、そのうち悪いやつに捕まっちゃうかもな』
ねえ、それってどういう意味だろう。
ピュアなままでいてほしいって、全然意味わかんないよ。
芦原くんがいつかわたしにとって“わるいやつ”になる……ってこと?
「うーん……?」
考えてもわかりそうになくて、わたしはひとり眉間にシワを寄せてうなった。
芦原くんの真意がわからない仕草は、なんだかすこし、心臓に悪い。