「玲於と待ち合わせでしょ? 12時って聞いてたけど……なんか遠足が楽しみで無駄に早起きする小学生見てる気分になったわ」

「えー…っと、それはもしかしてバカにしていらっしゃいますでしょうか」

「玲於の前でこういうこと言うと怒られるからさ。でもずっと思ってたよ、二瀬さんはちょっとアホっぽいなって」

「今になってわざわざ暴露しなくてもいいですそれは……」



吉良くんってちょっと掴めない人だなって思っていたけれど、こうして話すと、芦原くんの3倍くらい根っこの意地が悪い気がした。


ずっと思ってたなら、そのまま言わずに墓場まで持って言ってくれていいのに……!




怒られない程度に睨むと、「ハハ」と笑われた。

乾いた笑みに込められた謎の圧に萎縮して、「スミマセン……?」と返す。




吉良くんには逆らわないでおこう。芦原くんの情報を前に少し提供してもらった御恩もあるし。

……なにより、かわいた笑顔がちょっと怖いから。