きっと芦原くんがわたしに抱えてくれた気持ちの何倍も、わたしはきみのことが好きだ。
恋をするのは初めてで、くるしくなったり胸が痛くなったり、知らない感情に悩むことの方が多かった。
だけど、でも。
芦原くんの顔をみただけで、制御しっていたはずの感情がぶわあってあふれ出す。芦原くんを好きって気持ちはもう止められそうになかった。
わたしはもう、とっくにきみに溺れていたんだから。
「…好き、あしはらくん」
「うん」
「好きなの……、」
「うん」
「っ、もっと一緒にいたい……、他の女の子のところ、いかないでほしい…」
「うん」
「わたしのこと、っ好きになって────っ」
ふわり、芦原くんの慣れた香りが強くなる。言葉を遮って口付けるのは、芦原くんの数ある癖のひとつだ。
「うん。だから、もうとっくに好きになってんだって」
触れるだけのキスのあと、そう言って笑った芦原くんが再び噛みつくように唇を重ねた。
一度目より、深く。
やさしさと愛おしさでいっぱいのキスに、また涙が出た。