保健室で、モテすぎ問題児くんに甘い噛みあとを付けられました。





わたしがきみに抱えた感情を、うまく伝えられる自信がない。



言葉選びを間違えたら、伝わらなかったら、また傷つけてしまうかもしれない。悲しませてしまうかもしれない。


告白してだめだった時よりも、芦原くんにまた悲しい顔をさせてしまうことの方が嫌だった。




言葉より先に零れた涙は止まることを知らない。ぽたぽたと落ちて、雪がうっすら積もる地面に溶けていく。



泣くことしかできない自分がどうしようもなく情けなくて───




「ひろ、顔上げて」

「っ、う」




頬をかすめた指先が、やさしく涙をすくう。



ままならない顔のまま視線を合わせると、芦原くんは「泣き顔もかわいいのな、ほんと」といって小さく笑った。



照れたような、困ったような顔。

表情だけでは芦原くんの考えていることはわからなくて、次の言葉を待つ。



「言葉選んだり駆け引きしたりすんの、得意じゃないから。だから、先にいちばん言いたいことだけ言うわ」




そして、向けられた言葉に────また、涙が零れた。
















「俺、ひろのことが好きだよ」