保健室で、モテすぎ問題児くんに甘い噛みあとを付けられました。





わたしは口下手だからうまく自分のことを話せないし、優柔不断だから意見を求められるとどうしても相手は欲しがっている答えをあげようとしてしまう。

誰かを好きになったことがこれまで一度だってなかったから、恋の仕組みなんか全然わからないままで。




芦原くんと出会ってから、起こること全部が未知で、脳処理が追い付かなくなった。



だって、頭で思っていることと行動が全然伴ってくれないんだもん。


感情のコントロールがきかなくなって、わたしは自分が思っていたよりもずっとわがままで独占欲がつよいことにも気づかされてしまった。




この気持ちの名前を、わたしはもうわかってる。

ちゃんと知ってるの。





なのに、なのに……





「……っうぅ……」




どうして言えないの。
なんでこんなにうまくできないの。



喉まで出かかったたった二文字が、言えない。


恥ずかしさはとっくに通り越している。そうじゃなくて、それよりもこれは───……怖さだ。