「────ひろ!」
人目もはばからず、彼女の─ひろの名前を呼んだ。俺の声に、ひろが看板から目を離して視線を移す。
目が合って、ひろが驚いたようにその場にかたまった。
「な、なん…、なんで芦原くんが……えっ…ええ…?」
まさか本当に会えるとは思っていなかった。
ひろがいる。1週間ぶりに顔をみた。
いつ見たって、いちばん最初に思うのはやっぱり「かわいい」で、その次に、「触れたい」だ。
心臓がギューってなって、意味わかんないくらい鼓動が早くなる
ひろの元に駆け寄ろうと足を動かそうとした矢先。
───ひろは俺がいる方とは反対に走り出した。
はあ? なんでだよ。
意味わかんねーよ、ひろのバカ。



