「どうにかしたいとは…思ってる、けど、直せなくて」
「あぁ、まあ。気持ちはわかんなくないわ。俺も寝坊すんの、直せないし。どうにもなんないことって、無理して直すようなもんではないと思うけど」
それとこれって同じなのかな……と思いながら、寝坊することをどうにかしたいと思う気持ちが芦原くんにあったことにも内心驚く。
反省とかぜんぜんしてないのかと思ってた。
こうして話してみると、芦原くんって意外と怖いだけの人じゃないのかも。
「芦原くんって意外とやさしい人なんだ……」
「はぁ?おまえお人好しのくせして結構言うのな。タメで喋ったら殺されそうとか、意外とやさしいとか」
「えっ、ご、ごめん…」
「いーけど、全然」
呆れたように笑われて、どこかむず痒い気持ちになった。
芦原くんは、思っていたよりも怖くなくて───ちょっとだけ、優しい人みたい。



