「もう冬休み入っちゃったけどまだ拗らせてんの?」

「うるせーなわかってるよ」

「ヘタレすぎ。デートとか言ってる場合じゃなくね?」

「デートとは言ってねえだろ。茜が勝手にそう言った」

「ふうん。ま、なんでもいいや。俺には関係ないし」



自分からひろの話題を出しておいて適当すぎる。

自由すぎる茜に、はあ……とため息がこぼれた。





ひろと気まずくなってしまったのは、冬休みに入るちょうど一週間前のこと。



会いたいし話したいし触れたいけど、ひろが全然素直になってくれないから、ムカついて意地の悪いことを言ってしまった手前、なかなか連絡できずにいた。





ひろのことが好きで、独占したくて、他の男に触らせたくなくて。


ひろの反応をみる限り、完全に嫌がっているとは思えなかったから──結構、期待していたんだと思う。