―side玲於―




「玲於、ジャン負けで買い出し行こ」

「そんなん一緒に行けばいいじゃん」

「こたつから出たくないから玲於が負けるまでじゃんけんするつもりで言ってんだわ。はやく拳出せ?」

「思考やばすぎ」




冬休みに入って一日目。


首まですっぽりこたつにくるまっている茜が、右手だけ突き出してじゃんけんを急かしてくる。



茜とはマンションが同じで、学校がある日もない日も関係なくどちらかの家で一緒に過ごすことが多かった。


小さい時から変わらない、俺と茜のお決まりのスタイル。ちなみに、茜の家にはこたつがないから冬は9割は俺の家で過ごしている。





寒いのは嫌いだけど、茜ほどじゃない。



……しょうがないから買い出し行ってやるか。どうせじゃんけんをしたところで俺に行かせるつもりだったみたいだし。



俺も相当めんどくさがりだと自負していたけれど、茜は俺のはるか上をいくめんどくさがりだから、必然と俺が動く機会が多くなる。



もう慣れたから全然いいけど。