「素直な七海、ちょっとヘンな感じ」
「は? うるせーわ」
二瀬が「ばいばい」と手を振るから、俺もつられて右手を上げて軽く振った。
二瀬の姿が遠く見えなくなっても、俺はその場からしばらく動けなかった。
帰ってしまったら、今日が終わってしまう。女々しいってわかっていても、もう少しだけ、この余韻を味わっていたかったんだ。
学校以外で二瀬とふたりで会うことはもう二度とないような気がする。
…いや、気がする、ではない。
そうなんだ、絶対に。
遅かれ早かれ、二瀬は好きな人に気持ちを伝えに行くだろう。
上手く行ったら目一杯茶化してやるし、うまく行かなかったらドンマイって笑ってやる。
……まあ、後者になる可能性は限りなくゼロだけど。



