「おまえ、人の頼みとか断れなそーだね」
「うっ……」
「図星? まあ、お人好しそうな雰囲気出てるもんな」
ぜったいぜったい、マイナスな意味で言われてる。
芦原くんも、わたしのお人好しな雰囲気をくみ取って「傘入れて」ってお願いしてきたのかもしれないし。
だけど、芦原くんの言う通りだ。
優柔不断で、人からの頼みごとを断れない。
それがわたしのデフォルトで、いつからか頼まれごとが多くなった。
お人好しって、直そうと思っても直せるものじゃない。
誰かの力になれるのは嬉しいけれど、要領がいいわけでもないから、自分のキャパを越えてしまいそうになることもしばしば。
それでも、お願い事を断ったら悪口を言われたり、生意気って言われたりしちゃうのかなって思ったら怖くて。
そうこうしているうちに、『いい子ちゃん』のイメージが定着してしまった。



