どうして急に七海がそんなことを言いだしたのか。
思い返す必要もなく、わたしには心あたりがあった。
七海と図書室で話したあの日のことだ。
何も言葉には起こしていないけれど──なんとなく、七海にはすべて見透かされているような気がしていた。
「二瀬だって、もう自分で気づいてんだろ?ちゃんと気持ちは伝えた方がいい。いつかいつかって先延ばしにしてると俺みたいになる」
「七海みたいに…って?」
「もう俺に振り向いてくれなくていいから、絶対幸せになれって願ったりするようになるってこと」
中学生の時に七海と知り合って早数年が経つけれど、七海に好きな人がいるという話は聞いたことがなかった。
千花ちゃんによくいじられている様子があったけれど…もしかして、その子のことだったのだろうか。
恋って、全然理屈じゃないんだ。
頭で思っていても行動できなかったり、思ってもないことを口にしてしまったり。
七海もずっとそういう気持ちを抱えていたのかな。
全然知らなかった。言葉にされてようやくわかることが、世の中にはきっとたくさんあって──…
「もう逃げんのやめろよ。後悔すんのも悩むのもそれからにしろ」
「…っ、」



