「ね。焼肉、今度ぜったい行こうね!3人で!」
「だからぁ…3人を強調すんなっての……」
「え?なんか言った?」
「言ってねーよ。つーかおまえいつも耳遠すぎだから。耳鼻科行けば?」
「ひどいぃ……」
むうっと口を尖らせて七海を睨むと、七海はわたしのあたまをぐしゃぐしゃと乱暴に撫でた。
ここ数か月、人に頭を撫でられる機会が増えた。
子供の頃に両親や親せきのおとなにされる以外にめったにないはずの行為なのに……と、そこまで考えて、キュッと胸が痛む。
……芦原くんのせいだ。
首筋にかみつくのも、優しく頭を撫でるのも、全部芦原くんの癖だもん。
すっかりあの感覚に慣れてしまった自分が憎い。
七海にされたものより優しいあの心地を、わたしは忘れられずにいる。
……今、此処に芦原くんはいないのに。



