「なぁ、てかなんで敬語?」
歩いて数分経った頃、ふと落とされた声に顔を上げる。
辺りが暗くなってきているせいなのか、芦原くんの白に近い金髪がやけに映えていて眩しかった。
何で敬語なの、なんて。
そんなの、芦原くんが“高嶺の問題児”だからに決まってる。
「同い年だし、敬語要らないって」
「で、でも、芦原くんにタメ口聞いたら殺されそう…」
「なんだそりゃ。とりあえず、今から敬語禁止な」
「禁止……」
急に言われても困る、のに。
でも、芦原くんの言うことはぜったいだ。高嶺の問題児に逆らったりなんかしたらどんな刑に処されるかわかんないもん。
「わかりま……わかった…」
ぎこちないタメ語で返すと満足げに笑われた。



