「永野が来ないなら二瀬も来ないかと思った」
「えぇ、そんなことないよ? 楽しみにしてたもん、映画」
「…はいはい映画ね」
はあ…と七海がため息をつく。
七海は楽しみじゃなかったのかなぁ。
七海って普段から遠回しな言い方をするから、バカなわたしじゃなかなか理解できないことばかりだ。
千花ちゃんがいたらわかったかもしれないけど、今日はいないからしょうがない。
「七海、今日はわかりやすい言葉で話してね」
「はあ?」
「翻訳係いないから。あんまり意味わかんない発言しないでくれるとたすかる」
「おっっまえ…完全に俺のことなめてんだろ。だいたいおまえが鈍感バカすぎるのが原因だろーが」
「えええ…?」
「もういいわ…」
あれれ、諦められてしまった。
「歩くの遅すぎたら置いてくからな」と優しさの欠片もない言葉をかけられ、あわてて七海の隣にかけよった。
千花ちゃんがいないのは残念だけど、映画はすごく楽しみだからこれはこれで楽しんじゃったほうがいいよね。
「楽しみだね、七海!」
「おまえはホント…気楽でいいね」
うーん。
やっぱり七海の日本語はよくわかんないや。
「……なんか、まじのデートみてえ」
ぼそっと呟かれた七海の声は、うまく聞き取れなかった。



