「つーか、二瀬は良かったのかよ。永野いなくて」

「寂しいけど……来れないものは仕方ないよ。それに、夜は予定通りお泊りできるって言ってたから平気」

「…ふーん。あっそ」




なんと残念なことに、千花ちゃんが急遽来れなくなってしまったのだ。



千花ちゃんはどうやら昨日から隣県のおばあちゃんの家に家族で遊びに行っていて、今日の約束には間に合うように午前中には戻る予定だったけれど、帰り道で渋滞に捕まってしまい間に合わなくなってしまったみたいなのだ。



お昼ごろに千花ちゃんから電話があり、お泊まりはぜったいにできるから大丈夫ということと、映画の時間には確実に間に合わない旨を知らされていた。











《ひろ、ごめんね…。朝結構早く出たんだけど、パパもこの渋滞は想定外だったっぽい…。夜更しできるようにいっぱいお菓子買っておくから許して…》


「ぜんぜん大丈夫だから気にしないで! 」


《時間中途半端になっちゃいそうだから、あたしはお泊り会だけにする…。七海に優しくしてあげてねひろ》


「うん、わかった。っていうか、七海のほうがわたしに優しくしてほしい…」


《あはっ! 七海は天邪鬼だからしかたないわそれは!》


「千花ちゃん、それいつも言うけど全然意味が…」


《えー? とにかく、ホントごめんね。七海にもちゃんと連絡しておくから、夜にまた会おうね。いっぱい話聞くからね!》