「君、あの女の子のこと好きなんでしょぉ」




図書室での出来事を思い返していた俺に、ふとそんな声がかけられる。




「はい?」

「わかりやすいもん君。そんで玲於もあの子にだけは感情むき出し。ライバルなんじゃないの?追いかけなくて平気?」

「俺はそういうんじゃないんで」

「あ、なるほど? もうすでに諦めたタイプかぁ。不憫くんって呼んでもいい?」

「やですよ、なんすかそれ」




さっきまで芦原と一緒にいた女の先輩。

たしか、この学校の生徒会長。





芦原の、二瀬へのかかわり方を見ていれば、会長と芦原が恋人関係であるとは考えられないから……幼馴染か、もしくは会長の片想いが妥当か?





「会長は、芦原のこと好きとかじゃないんですか?」




せっかくだし聞いておくか、と気になったことを質問すると、会長は一瞬目をまるくした後、「あはっ、そりゃないわぁ」といってけたけた笑いだした。