― side 理久―
「待って七海くん、俺が行く」
「は? おま、」
「ごめんね、ひろに避けられんの、これ以上はきついんだわ」
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あー、クソ。最悪だ。
思いだしただけでむしゃくしゃしてしょうがない。
へたくそな嘘をついて芦原を避ける二瀬を追いかけようとしたら、俺たちの……いや、二瀬の存在に気づいた芦原に先を越された。
言い返す暇もなく芦原が走りだして、俺みたいなエキストラはお呼びじゃないんだろうなって思ったら怯んで、足が動かなかった。
『ひろに避けられんの、これ以上はきついんだわ』
……なんだよ、必死な顔しやがって。
芦原のことが俺は嫌いだ。
いつも余裕ぶってるところとか、めんどくさがってやらないだけで実はかなり才能に長けているところとか、あっという間に二瀬の意識を奪ってしまうところとか。
むかつくし、悔しいし、死ぬほど羨ましい。



