再びじわじわとこみ上げてくる涙を堪え、きゅっと唇を噛む。油断したら零れてしまいそう。
震える声でそう言って、目は会わせないまま鞄を持って立ち上がる。
「は…? ひろ、何言ってんの?」
「っか、会長さん待ってるんじゃないのかな。一緒にいたもんね」
「そんなの今どうだっていいだろ」
「…っだめだよ。早く戻った方がいいよ」
「おいひろ、話聞けって」
これ以上、芦原くんのことで悩みたくない。
今ならまだ引き返せる。
今ならまだ、なかったことにできる気がする。
「っ芦原くんの遊び相手にはならないって言ったもん……!」
静かな教室にわたしの声が響く。震えて、掠れて、情けない。
涙がぼたぼたと零れ落ちる。ぐちゃぐちゃの泣き顔をみられたくなくて、顔を上げられなかった。



