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小さな傘の下、ふたりで歩く道のり。
歩くたびに制服が触れる距離。そのたびにわたしだけがビクッと肩を揺らしてしまうからイヤになる。
わたしだけ……変に意識してるみたいだ。
雨は止む気配はなく、それどことか強くなる一方だった。
雨の音と、わたしの心臓の音と、二つ分の呼吸音。
その3つが空気に落ちていく。
いやいや、気まずい。すごく気まずい。
何か話をしなければ……と、切れの悪い脳内で必死に考えていると。
「ねえ、いつもこの髪してたっけ?」
傘を持っている手とは反対の手で、わたしのツインテールにそっと触れた。
指先に絡めるようにいじられて、突然のことに、あ とか え とか、言葉にならない声ばかりが零れる。
さりげないスキンシップの達人だ。
すごい、イケメンって恐ろしい。



