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ホームルームが終わってから1時間以上たっていたこともあり、教室にクラスメイトの姿はなかった。
当然、「忘れ物をした」なんていうのは芦原くんの視界に入らないように咄嗟に着いた嘘なので、教室に用事なんかない。
だけど、芦原くんとわたしは帰り道が同じ方向だから……時間をずらさないと、追いついちゃうかもしれないから。
芦原くんはべつにわたしじゃなくても良いんだ。
わたしじゃない女の子と一緒にいるところなんか見たくないって思うのは、ただのわたしのわがままで、勝手な独占欲で。
ちゃんとわかってた。
わかった上で、芦原くんに期待したいたんだ。
芦原くんが言ってくれた「好き」が、わたしと同じ重さで、温度だったらいいのにって。
……こんなの、もう、どうにも誤魔化せないじゃないか。
どうしてもっと早く気づけなかったんだろう。
……いや、もしかしたら、わたしが意図的に気づかないふりをしていただけなのかも───…
「──ひろっ」



