「二瀬? 何止まって……げ、」
足を止めたわたしに声をかけようとして、七海も芦原くんの存在に気づいたみたいだ。
よっぽど嫌いなのか、「げ」って思いっきり声に出しちゃってる。
「……七海、わたし忘れ物した…」
「は?」
「ご、ごめん、先に帰ってて」
「ちょ、はあ!? 二瀬!」
芦原くんと目が合う前に、踵を返す。
七海の焦った声には振り向かず、早歩きで来た道を戻った。
わたし、芦原くんにどんな顔をして会えばいいの?
普通になんかできっこない。芦原くんがいつも通り接してくれたとしても、きっとわたしはぎこちなく返しちゃうもん。
同じ土俵に立ててもいないくせに、会長のことをこんなにも敵対視しているってバレたくないから。



