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「送ってく」
「七海の家とうちじゃ方向真逆だし、平気だよ」
「いや、送る」
「ホントに大丈夫だって」
「こういう時って黙って送られるもんだろ普通は」
「だって七海これまでそんなこと言ってきたことないし…」
「それはおまえが……あーもう、なんなのおまえ!」
「今日の七海なんか変だね……?」
結局、私と七海が図書室を出たのは17時を回ったころのことだった。
少し雑談したあと、「ついでだから課題教えてやる」と数学の授業で出された課題を一緒に解いてくれたのだ。
家でひとりでやる時は教科書やノートを駆使して1時間くらいかけて終わらせている課題が、七海に教えてもたいながら解いたおかげで30分ほどで終わらせることができた。
……相変わらず教え方はスパルタだったけど。
どういう風の吹き回しか「送っていく」といって聞かない七海とそんなやり取りをしながら廊下を歩く。
──そのタイミングでのことだった。



