「…ひろが泣いてんの初めて見た」
「そうなん?」
「あー……俺があそこでちゃんと肯定すれば泣かせなかったかもしんねーのに、何やってんだホント俺、馬鹿すぎ……」
玲於がガチでへこんでるところを俺は初めてみたけどな。
二瀬が気づいていないだけで、多分、大半が玲於の気持ちに気づいている。
だから、玲於に好意を寄せる女子も半ばあきらめて関わってこなくなったんだと思うし。
玲於は昔からなんでも要領よくこなせてしまうタイプで、人付き合いが上手かった。
誰にでも平等に優しいし、誰かを特別扱いしたりもしない。
自分でいうのはなんだけど、多分、玲於が昔付き合っていた彼女より俺のほうが大事にされてたんじゃないかって思うくらいだ。
二瀬ひろ。
玲於が絶対好きにならなそうな真面目で純粋な女の子。
最初は流されやすくて玲於に振り回されている印象があったのに、今じゃあの玲於がこんなに必死になっているわけで。
どっちが振り回しているのか、もはやわからない状態。



