ー side 茜 ー
「玲於ごめん。少しからかうくらいのつもりだった」
「おまえまっっじで趣味悪いんだけど…」
はああ、と玲於の口から大きなため息がこぼれる。
……参ったな。
千花が言う通り、ちょっともどかしくなってきたから茶々いれてやろうかと思ってのことだったんだけど……やりすぎた。
あからさまに落ち込む玲於の肩を、慰めの意味を込めてぽん、と叩くとぎろりと睨まれた。
三白眼に睨まれんの、すっげー迫力。
「泣いてたなぁ、ひろ」
「名前呼びやめろっつってんだろ」
「はいはい、二瀬ね」
女子のことを名字で呼ぼうが名前で呼ぼうが、今までそんなの気にしたことなかったくせに。
玲於の変わりよう……というか、二瀬ひろに対する独占欲は見ものだ。



