「……名前呼ぶなって」
「はは、嫉妬?」
「は? まじで黙れよもう」
こんなにフキゲンな芦原くんは初めて見た気がする。
反対に吉良くんはどことなく楽しそうな表情で、これまた初めて見る顔だった。
「今までの子とそんなに違う? 二瀬は」
忘れていたわけじゃない。
芦原くんは、わたしとちがって恋人がいたこともあるし、女の子との関係もきっとたくさんあった人だ。
誰にでも同じだけ優しくて、モテモテの人気者で。
それなのに、ちょっと仲良くなったくらいで、やさしくされたくらいで──芦原くんにとって自分はとくべつな存在になれているかも、なんて。
「うるせえな、そういうんじゃねーから」
勝手に自惚れていたのはわたしなのに──否定されて傷つくなんて、おかしな話だ。



