「わ。芦原くん、そのパン新発売のやつじゃない?」




わたしと千花ちゃん、芦原くんと吉良くんの4人で一緒にお昼を食べようとした時のこと。

ふと、芦原くんが開封したパンのパッケージを見て千花ちゃんが問いかけた。





わが校の食堂は吹き抜けになっていて、階段を上ったところにも食事スペースが設けられていた。

階段を上るのが面倒だからという理由で、生徒利用はあまり多くないけれど、日当たりが良くて気持ちよい穴場スポットなのだ。


高嶺ツインズがふたり揃うとどうしても周りの視線がつきものだから、その点でもこのスペースは使い勝手が良かった。





「うん。抹茶ティラミスあんぱん」

「聞くだけでもうすごい盛りだくさんな味だよね……」

「うはは、確かに。あ、食べる? まだ口付けてないよ」

「いやー、あたし抹茶得意じゃないんだぁ」

「あ、そうなん? じゃあ食べちゃうわ」

「どーぞどーぞ!」