「っ、はぁ」
「なあひろ。俺だって健全な男なの、わかってる?」
唇を離した芦原くんは、顔を隠すようにわたしの肩に頭を預けた。手が腰に回されて抱きしめられる。
ふわふわの毛先が頬をかすめて擽ったい。
キスで呼吸が乱れたわたしの音なのか、表情が見えない芦原くんの音かはわからないけれど、心臓がどくどくと音を立てている。
「……わ、わかってる」
「じゃあ、俺が今何考えてるか当てられる?」
芦原くんの考えていること……。
いつだって余裕で、わたしよりずっとずっと上手で、反応を見て楽しんでいるであろう芦原くん。
わたしに構ってくれる理由すら、まだちゃんとわかっていないのに──
「っひゃあ!?」
と、考え始める前にまだちゃんと巻いていなくてゆるゆるだったマフラーの隙間から、芦原くんの唇が首筋に触れた。
突然のことにへんな声が出る。