「送ってくわ」
芦原くんの言葉に頷いて、再び帰路につく。
スマホを探し始めた時よりもさらに日は落ちていて、家に着くころには真っ暗になっていることだろう。
最近、芦原くんに送ってもらうことに抵抗はなくなった。
申し訳ないと思う気持ちがなくなったわけじゃないけれど、遠慮しても芦原くんは引いてくれないって分からされたから。
「ありがとう……」
「俺が一緒に帰りたいだけだからいーよ。俺のがありがとうだわ」
お礼を言うと、芦原くんはそう言って自分が使っていたマフラーを解いてわたしの首に巻き付けた。
「冷えるからそれしときな」
「え、っ」
「よし、帰るかぁ」
つよく手を握りなおし、歩きだす。
さらっとドキドキさせるような言葉を言ったり行動をしたりするし……おまけに鼻腔をくすぐる芦原くんの柔らかな香りに、わたしの心臓は休まる暇もなかった。



