それで、だ。
芦原くんの行動や仕草に気を取られてばかりで、どこかでスマホを落としてしまっていたみたいなのだ。
気付いたのは集合時間が迫っている最中でのことで、皆を巻き込むのも申し訳ないからとひとりで探しに戻ろうとしたんだけど──…
『ひろ、俺と約束したこと忘れた?』
『え、えっと……』
『離れんなっつったよな。もうこんなに日落ちてきてんのに、ひろってバカなの? 俺ががひろのこと一人で行かせると思ってる?』
『は、はひ…っ、ごめんなさいぃい……!』
こんな感じで笑顔に圧を含めた芦原くんに手首を掴まれ、一人行動を阻止されてしまったというわけである。
芦原くんには手を繋がれたままだったけれど、とてもじゃないけど「離してください」とは言えず、流れるままにわたしたちは歩いてきた道をたどった。
結局、スマホは1時間ほど前に寄り道したお茶屋さんに忘れ物として届けられていたようで、先ほど無事わたしの手元に戻って来た。



