「迷子になんないように手でもつないどく?」
「つながないよ!ていうか芦原くん、なんか近い…っ」
「いやほら、俺ひろの保護者みたいなもんだし」
「保護者だってこんなに近い距離で歩かないもん!」
「ねえ吉良くん、あのふたりってつきあってるんだっけ?」
「いや、たぶんまだ玲於の一方通行」
「うちのひろちゃんの鈍さはレベル999くらいあるよ?」
「玲於の本気も多分レベル999はあるから大丈夫っしょ」
「見てるこっちがもどかしくて耐えらんなくなりそう……」
「気持ちはわかるけど、これはこれで見てる分には結構楽しい」
「えぇえ…?」
時は12月上旬──わたしたちは校外学習に来ていた。