「七海くんって好きな子いじめするタイプだよね」
「えぇ?」
「ひろのこと、狙ってんじゃん?」
“好きな子”を相手にしたら、他の女の子たちと対応が変わるのは必然だ。
七海くんが教えるのが下手なのは、必然とひろと近い距離で話すことになって緊張しているからなんじゃないかって思うし、スパルタなのはただの照れ隠しだと思う。
「うーん…?七海はそういうんじゃないと思、」
「そう思ってるのはひろだけだとしたら?」
俺の質問に、ひろは口を噤んだ。
なんで急にそんなこと言うの? って言いたげな瞳で俺を見つめている。
急じゃないよ、全然。
気付いていないのはひろだけ。
七海くんも──俺も。
怖くて前に進めていないだけで、ホントはずっと思ってるんだ。



