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夕暮れ時の教室は、やけに静かだった。
心臓の音が聞こえていたらどうしよう。
ひろとふたりきりでいつもより脈が速くなっているのがバレるのは何だか恥ずかしいな……なんて思いながら、ひろの黒髪をそっと掬う。
ひろは、困ったような表情を浮かべ、上目遣いで俺を見ていた。
「……ふ。何、その顔」
「な、なにって……お、怒ってる」
「怒ってんの」
「だって……芦原くんが急に…、急に……」
あーあ、可愛い。
恥ずかしくてキスって言えないところも、真っ赤な顔で今にも泣きそうな瞳で見上げてくるところも、全部。
可愛すぎて、どうしていいかわかんない。



