「てか、寝てるとこ邪魔してごめんな。俺、隣のベッド行くから」
「……、邪魔なんて、思わないよ」
「ひろはやさしーからなぁ」
これ以上ひろといたら理性が飛んじゃいそうで、俺は誤魔化すように笑ってそう言った。
まあ、隣のベッドに移ったとて、カーテン越しにひろが寝てるって思ったら心は穏やかじゃないし、真面目に授業受けに戻ろうかなーなんて思ったりもしていた。
「じゃあお大事に──…、ん?」
兎にも角にも、自分なりにちゃんと健全な距離を取っていた────のに。
「えー…と、ひろ?この手は…、」
「……もう少し、だけ」
体調不良になると人肌が恋しくなる気持ちは何となく知ってる。
ひろが俺を引き止めたのもきっとそんな理由で、深い意味なんてないんだと思う。
だけど、でも。
「ひろは熱でふわふわしてるかもだけど、俺はいつもと変わんないんだよ」
「…、へ、えっと」
「だから。ひろのこと見てると──…悪いことしたくなるんだって」
なあ、ひろ。
俺はさ、気になる女の子に引き止められて、普通を装えるほど俺は余裕がある男じゃないんだよ。



