「二瀬さん、体調はどう​───……あら、寝てる間に虫にでも刺されたのかしら。首のところ、赤くなってるわよ」




一眠りついて、目を覚ました時の話。

戻ってきた中田先生に指を刺されたわたしの首筋には、虫に刺されたというよりは、"噛み付かれた"ような痕があった。





『ひろのこと見てると──…悪いことしたくなるんだって』



脳裏を過った声に、かあっと頬が紅潮していくのがわかる。



「…っだ、大丈夫です……っ」

「顔まだ赤いわね。熱また上がっちゃったのかしらね……」


虫刺されなんかじゃない。

芦原くんに、噛み付かれた痕だ。



首元を手で覆い慌てて誤魔化す。中田先生は熱が下がらないせいだと思ってくれたようで、「ご家族にに電話してくるから、早退しましょう」と言っていた。






……芦原くんのばか。

きみのせいで、熱は上がる一方だ。