保健室、ベッドの上、二人きり。
熱が上がって来たのか、キスで酸素が奪われたせいか、ぼーっとして頭が回らなくなってくる。
「…歯止め、」
「ん、そう」
「……きかなくなったら……」
──…そしたら、芦原くんはわたしに何をするのかな。
言葉にするのは野暮な気がして、脳内でだけ問いかけ声にはしないまま芦原くんをじいっと見つめている──と。
「ふは。ひろ、その顔わざと?」
「え……んむ、」
はむ、と芦原くんに再び唇を食べられた。
……わたしをだまらせたいときにキスを使うのはずるいと思う。
芦原くんがほんとうはキスが嫌いだって吉良くんから聞いたばかりだったけれど……、こうしてすぐにキスをしてくるし、やっぱり信じられないよ。
「ひろ、真っ赤」
「誰のせいで……っ」
「俺だね。熱じゃなくて俺のせいでしょ?」
ふ、と嬉しそうに笑う芦原くん。
覗いた八重歯は、ついさっきわたしの首筋に立てられたものだ。
思いだしてどくん…と心臓が高鳴る。
熱のせい、熱のせい、──…芦原くんから貰った、熱のせい。



