「……お、おこる」
「そ?」
「う…う、そんな顔してもだめっ」
「ひろ、ホントは迷ってるでしょ」
「迷ってないっ」
「そんな真っ赤な顔で言われてもな」
「っこれは熱の……────っ」
……怒るって言ったのに。
「ん……っ、」
唇を塞がれて、わたしは反射的に目をつぶった。零れた息が保健室の静かな空間に落ちる。
芦原くんとキスをするのはこれで2回目。
この熱、この感覚。
どうしたってドキドキしてしまう。
1回目の時より深くて長いキスは呼吸の仕方が分からなくて、酸欠になりそうになりながら咄嗟に芦原くんの制服を掴む。
そんなわたしの反応を見て芦原くんはぴくりと肩を揺らすと、そのままゆっくり唇を離した。
「…あー、もう。歯止め効かなくなるから、あんま煽んないでよ」
首筋に顔を埋めるように突然強く抱きしめられて、「っわ、」と声が出た。



