保健室で、モテすぎ問題児くんに甘い噛みあとを付けられました。






唇を離した芦原くんが、覆い被さるように顔の横に手を着いた。

ドキドキ、バクバク。心臓がおかしくなってる。



きっとからかいたいだけ。

わたしみたいに真面目で目立たなくて優柔不断な子を、自分の思い通りにしたいだけ。


わたしの反応を見て楽しむ余裕があるくらいには、芦原くんはいつだって上手(うわて)だから。



わかってるの。芦原くんは、わたしに本気になんかなってくれないって。




……だけど、今は。




「……ね。このままキスしたら怒る?」




余裕があるようにはとてもじゃないけど見えなくて。

絡んだ瞳が​───どうしようもなく、わたしを欲しているようで、自惚れてしまいそうになるんだ。