慌てて目を逸らし、ドアの影に身体を隠す。 「ん?玲於、どうし……えー、ドア開いてんじゃん。どうりで寒いと思った」 ……ほっ。よかった、気づかれてないみたい。 ───なんて、会長の言葉に胸をなでおろしたのも束の間。 「閉めてくるわ」 「ありがとー」 そんな会話を聞いているうちにあっという間に足音が近づいてきて───…… 「へえ。覗きとか、良い趣味してんね?」 会長には聞こえない、私だけに届けるくらいの声量でそう言われたのだった。