婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 そう言ってルースは、自嘲気味に笑う。その横顔に、サーラは頭を下げた。
「そうだとしても、わたしが助けられているのは事実だもの。本当に、ありがとうございます」
 ルースはそんなサーラを見て驚いた様子だったが、わずかに表情を緩めて、微笑んだ。
「そうか。それなら、よかった」
 サーラは思わず息を呑む。
 いつも無愛想で悲しげな表情ばかりだった彼の、自然な笑顔を見たのは初めてだった。
 それを見た瞬間、胸の奥がずきりと痛んだような気がして、思わず胸を両手で押さえる。
 過去に何があったのかわからないけれど、きっと彼だって、昔はこうして普通に笑っていたのだろう。
 サーラは無意識に手を組んで、祈りを捧げていた。
 何の見返りもなく自分を助けてくれるこの優しい人が、また笑えるようになりますように。

 ルースは、人で賑わう大通りに宿を取ってくれた。