婚約破棄した相手が毎日謝罪に来ますが、復縁なんて絶対にありえません!

 ルースは周囲を警戒しながら、慣れた様子で先を進む。
 最初に彼を見たときはひどく痩せていて、雑用係には見えないと思っていたのに、やはりサーラとは体力が桁違いのようだ。
 しかも朝食を食べていないので、少し身体がふらふらする。
 普段からあまり食べない方だが、それでも食事というものは思っていた以上に大切なものだと思い知る。
(きちんと毎日食事ができるって、とてもしあわせなことだったのね)
 修道院で暮らしていたときでさえ、当たり前すぎて気が付かなかった。修道女でありながら日々の生活に感謝していなかったなど、あってはならないことだというのに。
 自覚していなかっただけで、まだ貴族であることが抜け切れていなかった。修道女になった、もう公爵家とは関係ないと思いながらも、与えられた環境に甘えていたのだ。
 これからは、食べるものにも困ることがあるかもしれない。厳しい生活になるだろうが、それでも自分自身の力で生きていかなくては。